日本大学通信教育部・商学部・商業学科
教職課程レポート

科目「商業科教育法II」

課題「簿記の基本原理を学習指導する際、ねらい
・位置付け・今後の問題を含め、留意点を具
体的に記述しなさい。ただし、項目を立てて
記述してください」

評価「(合格)」

参考文献「なし。商業科教育法Iの教科書をま
とめただけ。IIの教科書は使わなかった」

一、帳簿はどのように記入するのかを身近な
小遣帳や家計簿などの現金収支の記帳から修
得させる。
 指導目標としては、
a日常生活における現金収支を記録し計算し
整理する基礎的技能を養わせる。
b記帳の心得について理解させる。
c経済生活上、記録計算の必要な理由を理解
させる。
d家計簿の役割、特に家計予算との関係につ
いて理解させる。
e家計簿の記帳技能を養わせる。
などがあげられる。
 生徒の小遣帳などを持ち寄らせ現金収支の
意義について考えさせる。また生徒会や校内
売店などの現実の現金出納帳について、その
形式や意味を考えさせそれを記入する練習を
させ、それに関連して帳簿に使用される独特
の数字・符号・文字などの基礎的な知識を身
につけさせる。さらに各自の家庭で家計簿を
つけるとどのように役立つかを考えさせる。
たとえば支出金額を一ヶ月分科目別に知るた
めには帳簿形式をどのようにしたらよいか、
あるいは支出欄を科目別に分けるとしたらど
んな科目を設けたらよいかなど各自の家庭の
状況によって作成させてみて、家計簿を単な
る記録簿としてではなく、事後の支出に役立
たせるための利用という見地から捉えさせる
。また実際に例題を与えて家計簿の記帳実習
をさせる。

二、小規模で取引の簡単な事業、例えばクリ
ーニング業や理容室などのサービス業を対象
として複式簿記の基本となる借方・貸方の記
入原則や、決算整理を要しない簡単な決算の
手続きを理解する。
 指導目標としては、
a簿記の基本原理を理解するために財産・資
本・損益・勘定・仕訳などの基礎的な知識を
習得させる。
b小規模で取引の簡単な事業における基本的
な記帳の方法を理解し、記録・計算・整理す
る技能を養わせる。
c決算の手続きを理解して事業の収益力や財
産状態を把握することのできる能力を養わせ
る。
d損益計算書・貸借対照表についての知識を
習得し、作成の技能を養い、あわせてこれを
観察する態度を養わせる。
e複式簿記の構造を理解し、単純な事業に応
用することのできる能力を養う。
f綿密周到で能率的な会計処理の態度習慣を
養わせる。
などがあげられる。
 一般に言われている財産と簿記上の財産を
比較させることにより、両者の相違を考えさ
せ簿記計算の対象を把握させる。また簿記上
の資産にはどのような種類の物があるかを調
査し列挙させる。資本額の計算はどのように
するかを考えさせる。例題を与えて期首資本
と期末資本を比較して純損益を計算させる。
また営業期間中発生する収益と費用より純損
益を計算させてみる。
 一か月の取引について収入・支出をどのよ
うな項目に分けたら計算が明瞭になるかを考
えさせる。また実際に地域の会社や商店で使
われる勘定口座の形式や勘定科目を調べさせ
てみる。小規模で取引の簡単な事業ではどの
ような勘定科目を設けたらよいか、またその
記入方法について考えさせる。
 借方・貸方および取引要素について考えさ
せる。取引要素についてはその結合表を作ら
せてみる。例題を与えて仕訳させ、勘定口座
を設けて元帳転記の方法を練習する。転記し
た勘定口座を合計して合計表を作り貸借平均
の原理を理解させる。取引例題を与えて仕訳
帳と元帳に正式に記録実習させる。
 決算とはどのようなものか考えさせ、記帳
された帳簿について営業期間中にいくらの損
益があったか算術的に計算させてみる。帳簿
上で振替を行って純損益を計算し、算術的な
計算と比較させる。営業期間中に発生した純
損益は帳簿上どのように処理したらよいか考
えさせる。資産・負債・資本勘定について締
切・繰越手続きを行わせる。
 元帳の正確さを試すための試算表の意義を
考えさせる。また試算表はなぜ貸借平均する
するのかも検討させる。
 例題を与えて損益計算書・貸借対照表・試
算表を作らせてみる。また純損益の決定に関
する財産法と損益法の関係から複式簿記の機
構について考えさせる。