日本大学通信教育部・商学部・商業学科
教職課程レポート

科目「商学総論」

課題「流通機能分析の必要性とわが国の機能
分析の展開について述べよ」

評価
「要約力表現力・解釈の妥当性(合格)」

参考文献「なし。商学総論の教科書をまとめ
ただけ」

 流通機能分析の必要性

 生産力の増大は分業の発展の賜物であるが
、反面消費者との隔離は拡大する。したがっ
て経済社会の発展は生産と消費の再統一を可
能とする商業・流通組織の存在・延長・発展
をもってその前提としなければならない。
 生産と消費を社会的に再統一するための機
能が流通である。生産は分業によってその利
益を享受してきたが、流通機構も分業の利益
を享受するために分化・複雑化してきた。
 分化・複雑化した商品の流通課程における
各種機能の社会的重要性・不可欠性を理解し
、また各流通機関の遂行する機能およびその
機能遂行方法を明らかにすることにより、こ
れら諸機関の存在理由を明らかにし、批判・
評価することにより流通諸問題を解決し、高
能率的な流通を実現する必要がある。

 わが国の機能分析の展開

 向井鹿松博士の機能分析
 配給機能を労働職能と所有職能に二分し機
能分析を行った。
・労働職能━精神的労働、技術的労働
・所有職能━資本調達、資本危険
 精神的労働は需要の探知、需要の喚起、生
産の探知、生産の喚起であるとし、技術的労
働は収集・分割、選別・混合、貯蔵、運輸で
あるとした。
 そして配給の本質的要素として精神的労働
をあげ、技術的労働・資本調達・資本危険を
付随的要素とした。

 福田敬太郎博士の機能分析
 配給機能を労働作用と資本作用に二分し機
能分析を行った。
・労働作用━計画的任務、実行的任務
・資本作用━金融、危険負担
 計画的任務はさらに需要者的活動と供給者
的活動に、実行任務は供給調節的作業と需要
応接的作業にそれぞれ分類した。

 谷口吉彦博士の機能分析
 配給機能を本質的機能と副次的機能に二分
し機能分析を行った。
・本質的機能━人格的機能(人的流通機能、
収集・分配機能、需給調節機能、価格調整機
能)
・副次的機能━場所的機能、時間的機能、金
融的機能、危険負担的機能、商品標準化機能
 本質的な流通機能としては「商品を社会的
に流通させる機能」としての人的流通機能を
あげ、それを収集・分配、需給調節、価格調
整の面から捉えた。
 また副次的機能としてあげたものはそれぞ
れ独立の機能を構成しているが、配給の本質
的機能と結びついているものと説明した。

 林久吉博士の機能分析
 配給機能を配給組織の遂行する固有の意味
の配給機能と配給機能の助成機能に二分し機
能分析を行った。
・配給機能━生産消費の人格的統一機能
・配給機能の助成機能━技術的機能、資本的
機能
 配給機能の人格的統一機能は、生産消費の
人格的統一機能を配給組織の経済的機能から
分析して、さらに流入機能と流出機能に分類
した。
 配給機能の助成機能については、技術的機
能として場所的・時間的・数量的・品質的統
一機能の4つに、また資本的機能としては保
険的機能、金融的機能の2つに分類した。

 久保村隆祐名誉教授の機能分析
 流通機能を需給接合機能(需給統一機能)
・物財移転機能(物的流通機能)・助成的機
能に三分する分類を行った。
・需給接合機能━市場評価(需要評価)、商
品調整(商品調節)、情報伝達、取引(売買
取引)。
・物的移転機能━運送、保管。
・助成的機能━流通金融、流通危険負担。
 このうち取引を流通機能の本質的な物とし
、その他は副次的機能とした。またそれら副
次的機能のうち市場評価、商品調整、情報伝
達を取引成立のための準備的機能、物的移転
機能は取引成立のための付随的機能とした。