日本大学通信教育部・商学部・商業学科
教職課程レポート

科目「商学総論」

課題「百貨店とスーパーマーケットについて
比較し論じなさい」

評価「表現力・解釈の妥当性(合格)」

参考文献「なし。商学総論の教科書をまとめ
ただけ」

 百貨店とスーパーマーケットの特性から両
者を比較してみると、百貨店の特性は、
一、取扱商品が買回品を中心として最寄品や
専門品にまでわたる多種多様な商品を幅広く
取り扱っている。
二、経営が商品別に多数の部門に分かれ統一
的に運営されている。
三、企業体として大規模かつ集中的に経営さ
れている。
四、消費者が多数参集する地域に立地し華麗
な外観・設備を持ち、通信販売・割賦販売・
無料配達などのサービスを提供し、多数の顧
客を広域から吸収するとともにアメニティ機
能も有している。
の4点である。
 なお百貨店は江戸時代からの呉服商から転
化・発展したもの、私鉄系のターミナル百貨
店、地元資本による地方百貨店に分類できる

 対してスーパーマーケットの特性は、
一、売り場面積が相対的に広い大規模小売店
である。
二、セルフサービス・現金持ち帰り制を採用
してる。
三、廉価販売を実施している。
四、幅広い商品構成を持つ。
五、駐車場を保有する。
六、販売促進を実施している。
七、高度な部門別管理を採用している。
八、合理的な商品の陳列を実施している。
の8点である。
 なおスーパーマーケットは取扱商品によっ
て総合スーパー、衣料品スーパー、食品スー
パーに分類される。
 
 次にその発生と発展に関して比較してみる。
 世界的に見る百貨店の発生は一八五二年に
パリに創設された生地店ボン・マルシェが最
初であり、正札販売、低利幅・高回転による
低価格販売、返品の自由、店内自由閲覧制な
どの革新的な販売方法を取りいれることで著
しい発展をとげた。その後フランス各地やイ
ギリス、アメリカ、ドイツにも百貨店が設立
された。
 わが国の場合近代百貨店の発生と呼べるも
のは明治三七年に三井呉服店が三越呉服店と
改称して株式会社に組織変えしたことに始ま
り、それに続く各呉服店の百貨店への組織変
えに求められる。その後第一次世界大戦後の
好景気下で地方の中小都市にも相次いで百貨
店が設立された。さらに朝鮮戦争を契機とし
た経済復興の元でさらに多くの百貨店が新設
され発展・成長をとげた。 
 世界的に見るスーパーマーケットの発生は
一九三〇年に開設されたキング・カレンと一
九三二年に開設されたビッグ・ベアである。
 これらは地代の安い空工場・倉庫・物置な
どを賃借して営業し、セルフサービス、現金
持帰制による食料品の超廉売を行い急速に発
展した。
 わが国のスーパーマーケットの発生は昭和
二八年年の紀ノ国屋がセルフサービス店とし
て誕生したことに始まる。昭和三四年以降に
は新規開店が漸増し急速に成長・発展して行
った。これは技術革新・消費革新をともなう
高度成長期に入り流通業をとりまく環境条件
がスーパーマーケットのセルフサービスやセ
ルフセレクション方式の効果を高めるように
作用したからである。
 
 さらにわが国での法規制面から比較してみ
ると、百貨店に対しては、世界恐慌後の慢性
的不況下での中小小売業者との対立・抗争に
より昭和一二年の第一次百貨店法で事業活動
に許可制という法規制が設けられた。また朝
鮮戦争後の百貨店の急速な発展下での中小小
売業者との対立・抗争時にも昭和三一年に第
二次百貨店法により法的規制が設けられた。
 対してスーパーマーケットは「流通機構自
体の近代化・合理化の見地より強力に推進す
ることが望まれる」として百貨店法のような
規制を受けることはなかった。しかしながら
出店競争の激化による地元との軋轢が社会問
題化し、昭和四八年には消費者利益の確保を
目的とした百貨店法の改正案である大規模小
売店舗法の規制を百貨店とともに受けること
となった。
  
 最後に現状を比較してみると、百貨店は急
速に成長したスーパーチェーンの攻撃を受け
衰弱傾向にあり、スーパーマーケットは大規
模店舗法の規制による拡大政策の行き詰まり
と消費需要の停滞により地方百貨店との提携
や中小スーパー間のグループ化が進展し再編
成が急速に進んでいる。