日本大学通信教育部・商学部・商業学科
教職課程レポート

科目「国際金融論」

課題「中央銀行が国際収支の動向に関心をよ
せる理由はなにか。またあわせて中央銀行に
よる収支動向の管理可能性を検討しなさい」

評価「何も書いてなかったが合格」
「フロート下での収支動向の管理可能性が十
分に論じられていない。市場介入VS投機的資
本取引の構図で考えてみてください」なんて
書いてあった。

参考文献「なし。国際金融論の教科書をまと
めただけ」

一、中央銀行が国際収支の動向に関心をよせ
る理由。
 国際収支とは一国の対外取引の集計、すな
わち外国為替取引の集計のことである。また
為替取引とは、自国通貨と外貨との取引であ
る。為替取引に関しても需要と供給による価
格の決定という市場原理が適用され、その交
換比率が流動的に決定される。その需給が均
衡していれば問題はないのであるが、実際に
は常に均衡状態にあるわけではなく、それが
不均衡な状態におちいれば、自国通貨の上昇
や下落という現象を見ることとなるし、その
変動が急激である場合には、経済社会の混乱
を見るのである。
 すなわち、国際収支が黒字になれば外貨の
供給過剰となり、為替相場での自国通貨の上
昇現象となってあらわれる。これは輸入業者
には歓迎されても、輸出業者にとっては苦痛
を強いるものとなる。むろん国際収支が赤字
になった場合には、その逆のことが言えるの
であり、どちらにしても利益を受け、損失を
被る者が生じることとなる。このような状態
を良しとせず、自国通貨の安定を望むのであ
れば、何らかの方法で国際収支の管理が必要
になる。
 また、為替管理が強力に統制されている元
では、外国為替手形の大部分が中央銀行に集
められ、それが自国通貨と交換されることに
よって、国際収支の黒字分だけ通貨流通量が
増え、その結果国内経済や生活水準が向上す
るという面がある。当然、国際収支の赤字は
通貨流通量の減少となり、国内経済や生活水
準を圧迫する。その度合は、貿易依存度の高
い国において特に顕著となり、国際収支管理
が重要な課題となるのである。
 上記のような金融政策や為替管理、国際収
支管理が行えるのは中央銀行だけであり、し
たがって中央銀行は国際収支の動向に強い関
心を持つのである。
二、中央銀行による収支動向の管理可能性。
 国際収支が外国為替取引の集計であり、ま
た為替取引には市場原理が働くのであるから、
国際収支の管理には為替相場の管理が重要な
問題となる。
@金本位制下での収支調整。
 あらかじめ各国が、自国通貨と一定量の金
との交換比率を設定しておく。これにより、
金を基準とした各国通貨の交換比率が定まる。
これを金平価と呼ぶ。さらに各国は、自国通
貨と自国の保有する金との兌換性を認め、な
おかつ輸出入の自由を保証しておく。
すると為替相場が下落し、金平価+輸送費(
金現送点)を越えた場合には、その金現送点
での金の流出が始まり、それ以上の為替下落
が押さえられる。また為替相場が上昇した場
合には、同様の理由により金の流入が始まり、
それ以上の上昇が押さえられる。すなわち、
金平価を中心とした金現送点を上下限とする
一定の範囲で、為替相場が変動する仕組みで
ある。
 また、貿易収支が大幅な赤字におちいった
ような場合、該当国は金の流出に見まわれる
こととなるが、金の流出は流通貨幣量の減少
(貨幣=金の鋳貨)を伴うというのが金本位
制であるから、それは物価の下落をまねき、
また金の流入を受けた国では物価の上昇をま
ねくこととなる。したがって金の流出国は輸
出の増加と輸入の減少となってあらわれ、結
果的に貿易収支が黒字方向へ導かれるのであ
る。
A金為替本位制での収支調整。
 あらかじめ各国が自国通貨のIMF平価(
対ドル相場)を設定しておき、その変動を一
定の割合内に押さえるために、中央銀行がド
ルの売買を通じて為替市場に介入するもので
ある。むろん中央銀行が保有するドルとは外
貨準備のことであるから、貿易収支の赤字傾
向が継続する場合には、当然その量は減少す
るのであり、際限のない介入は不可能となる。
したがって、その介入の限界点を越えた場合
には、国際的な妥協としての平価切下げが行
われることとなる。
Bフロート下での収支調整。
 フロート下では平価は存在せず、したがっ
て為替相場の基準も変動の幅のめやすも存在
しない。すなわち、各国の物価や賃金、成長
率、金利などに基づく、為替相場の自由な動
きにまかせることとなるのである。当然、為
替相場の大きな変動も予想されるが、それら
のリスクは当事者の為替の建値通貨変更や、
先物取引などである程度回避されるべきであ
るとするのである。したがって中央銀行は、
もはや為替相場には介入しないことを前提と
している。しかしながら、あまりにも急激な
変動に対しては、自国経済の保護のため、一
定の市場介入は行われる。