日本大学通信教育部・商学部・商業学科
教職課程レポート

科目「簿記論T」

課題「決算整理事項の代表的な手続である、
(1)期末棚卸商品の評価
(2)貸倒引当金の計上
(3)減価償却費の計上
について説明しなさい」

評価「合格」
「大変よくまとまっています!!・・・と書い
てあった。解答のポイントを印刷した紙が貼
ってあって、ABCの評価は書かれていなか
った」

参考文献「簿記論Tの教科書の他に会計学を
少々まとめただけ」

1.期末棚卸商品の評価
 棚卸商品の期末棚卸高を決めることを期末
棚卸商品の評価という。決算期には予想外の
商品数量の減少や、商品価値の下落が生じて
いる場合がある。そこで棚卸商品を適正に評
価し、棚卸減耗損や商品評価損を計上するこ
とによって、その減少額や下落額の処理をあ
きらかにし、適正な棚卸商品高を決定するこ
とが必要となる。
@棚卸減耗損
 商品の保管や運搬中に破損、腐敗、漏損、
蒸発、変質、盗難などにより数量的な損失が
生じ、帳簿在高と実地棚卸高が一致しないこ
とがある。その場合、その数量に原価を乗じ
た額を棚卸減耗損として処理する。営業活動
によって不可避的に発生する減耗であれば、
原価性があるとして売上原価や販売費で処理
されるが、一時的・非経常的な減耗の場合に
は、営業外費用や特別損失で処理される。
A商品評価損
 品質低下や陳腐化、あるいは時価の下落に
より商品価額が下がる場合がある。資産評価
は原則として原価法を使用するが、期末棚卸
商品の評価にあたっては低価法の適用を認め
ているので、時価が原価より下落した場合に
商品評価損を計上することができる。
a単純な下落の場合−売上原価や営業外費用
で処理される。
b強制低価法による場合−著しい下落が生じ、
原価まで回復する見込のない場合には、低価
法により評価しなければならず、営業外費用
や特別損失で処理される。
c品質低下や陳腐化の場合−原価性があれば
製造原価、売上原価、販売費などで、また原
価性がなければ営業外費用や特別損失で処理
される。
2.貸倒引当金の計上
 売掛金や受取手形などの売上債権には、そ
の全額が回収できなくなる事態の発生が考え
られる。これを貸倒という。売上債権の発生
と貸倒の発生が同一期であれば、その時点で
貸倒額を損失として計上すればよいのである
が、もしも期間をまたがっていた場合、つま
り前期に発生した売上債権の貸倒が当期に発
生した場合、それを当期の損失として計上す
ると正しい期間損益が求められない。また前
期の決算結果にあらためて計上しなおすこと
もできない。そこで決算にあたり、次期に持
ち越される売上債権がある場合に、予想され
る貸倒金額を事前に当期の損失として計上し
ておく。この処理を貸倒引当といい、予想さ
れる貸倒金額を貸倒引当金という。
 この処理により前期から持ち越された売上
債権に貸倒が発生した場合でも、貸倒引当金
の範囲内であれば、それはすでに前期に計上
されているのであるから、それを取り崩すこ
とにより当期の損失とはならないのである。
 なお貸倒引当金を超えて貸倒が発生した場
合には、その差額を特別損失として計上する。
 また期末に貸倒引当金に残高があった場合
には、その残高を特別収益として計上し、新
たに貸倒引当金を設定する。
3.減価償却費の計上
 減価償却とは「償却可能な有形固定資産の
取得原価を、その耐用期間における各事業年
度に配分すること」であり、配分された費用
を減価償却費という。
 有形固定資産は、一事業年度だけの使用に
供されるものではなく、通常複数事業年度に
渡って使用され続ける。また消耗、破損、陳
腐化などにより価値が減り(減価)、最終的
には使用不能になる。したがって有形固定資
産の取得原価は、それを使用した各年度に「
適当な割合の費用」として配分し計上されな
ければ、正しい期間損益が求められない。
 減価償却費の算出にあたっては、取得価額、
耐用年数、残存価額の三つの要素を必要とす
る。取得価額とはその取得原価をいい、耐用
年数とはその使用可能な年数をいい、残存価
額とはそれが使用できなくなったときの予想
処分価額をいう。したがって取得価額から残
存価額を引いた減価償却可能額を、耐用年数
に応じて各年度に適当な割合で費用として計
上することとなる。
 これらの三要素を元に減価償却額を決定す
るには定額法、定率法、級数法、生産高比例
法などがある。
@定額法−各期間に一定額を計上する。
A定率法−各期間に一定率で計上する。
B級数法−定率法の簡便法。
C生産高比例法−予定総生産量のうち各期間
の実際生産量の割合に応じて計上する。
 各方法によって求められた減価償却費の処
理には直接法と間接法がある。直接法とは該
当固定資産勘定の貸方に減価償却費を記入す
る方法であり、間接法とは該当固定資産ごと
の減価償却累計額という勘定を新たに設定し、
その貸方に減価償却費を記入する方法である。