日本女子大学・家政学部通信教育課程・食物学科
教職課程リポート

科目「衣生活学概論」

課題「衣服の役割を3つあげ、それぞれ例をあげて説明しなさい」

評価「(合格)・・・ただしD(不合格)を修正液で消してCにしてあった。温情的な人だと解釈しておく」

参考文献「衣生活概論の教科書の該当箇所を2000字以内に収まるように丸写ししただけ」

(1)人間生活上の役割
@身体の保護 衣服を着用することによって、打撲、害虫、刺激のある植物、日光、熱などの外界からの刺激に対して身体を保護することができる。また、主として下着類の着用により、汗や垢を衣服に吸着させ、身体表面を清潔に保つことができる。寒冷地においては、重ね着や適当な素材の衣服により体温低下を防げる。乾燥地においては、身体を大きくおおう衣服により、身体の水分蒸発を防げるなどの役割がある。
A運動機能性 人間は日常の生活でさまざまな運動をしているが、その運動を妨げない、あるいは運動しやすくする目的で衣服が用いられる場合がある。前者は身体各部の動きを考慮した形体の衣服であり、タック付きズボンやギャザースカートなどがある。後者は運動時に身体各部の締めつけ機能が認められる衣服、例えばブリーフ、ブラジャー(この2つは下着としての衛生機能もあるが)、その他サポーター類があげられる。
B休養・療養 日常生活の疲れをいやし、肉体的・精神的にリラックスするために用いられる衣服がある。また病気療養・介護に適した衣服もある。総じてゆったりとした形体で、柔らかい素材が使用される。パジャマや寝巻き、ガウン、バスローブなどがある。
C特殊服 防火服、潜水服、防寒服、宇宙服など、特殊な状況に着用される衣服がある。これらは作業を妨げず、生命を守るという役割がある。またスポーツ服のように、記録への挑戦に使用される衣服もこれに含まれる。それぞれ各目的に合致した素材選択・構造・縫製への配慮がなされる。
(2)社会生活上の役割
@慣習 社会生活のなかでおこなってきた衣服着用の取り決めが、慣習として定着し、ある特定の衣服を着用することがある。儀礼や制度と密接に関わってくる。洋服が世界的に通用するものとなったが、まだ独自の伝統的な衣服を併用してる民族がみられる。洋服での、男性はズボン・女性はスカートという区別や、日本の旅館で出されるゆかたなどがあげられる。
A儀礼 儀礼の場合に用いられる衣服として、特定の意匠の衣服を着用する場合がある。葬儀の際の喪服、式典の際の燕尾服などがあげられる。
B制度 衣服が制度として定められている場合がある。日本の場合冠位十二階において、冠の色によりその位を表した。その後の武家社会においても、衣服の着用のしきたりが成立した。また家柄を表すものとして家紋や紋章があげられ、式服に使用されている。古代ローマのトガも、着用できるのは市民権をもった男子に限られており、また一般市民は羊毛の自然色、将軍や皇帝は緋紫に金糸の刺繍入りのものと定められていた。
C制服 ある特定の職業と結びついた衣服がある。軍人、警察官、郵便配達人、鉄道員、看護婦、スチュワーデスなどの制服がそれである。また学生についても、おおむね学校ごとに特定のデザインの制服を着用している。これら制服はその着用により、職業の内容の明示の他、仕事への誇り、職業意識、所属意識を育てる意味をもつ。
D民族・思想 民族としての個性を主張する民族服がある。インド女性のサリー、イスラム教徒のターバン、女性のベールなどである。これらは民族の伝統、文化、宗教に根ざしたものである。また思想の表現としては、フランス革命時の王党派は後ろ裾の長い上衣とキュロットを着用し、革命派は短いジャケットとパンタロンを着用していたことがあげられる。
E流行 流行の発端は新しい美の発見であり、個性の主張である。それが多くの人に支持されて広く着用されるようになると、個性は無視され、暗黙のうちにその服装を強いられることとなる。結局、本来自由であるはずの衣服の着装について、支配的な役割をはたすこととなる。
(3)美的表現の役割
@個性の表現 衣服を身にまとうことは、とりもなおさず裸体を衣服でおおい隠すことである。衣服のデザインによっては身体をおおう面積に差異が生ずる。その際、四肢や胴部や頭部などの露出度の多寡により、自己の身体を衆人にさらすことの調整が可能である。また「ゆったりしたデザイン」「ぴったりしたデザイン」の取捨により、身体の線を明確に出すことも、曖昧にすることも可能である。さらには衣服に使用する、色、柄、文様によっても、自分や周囲が感じるイメージが大きく変わる。また、軍服などの一定のイメージを持つ衣服を着用することもできるし、高名な店やデザイナーの衣服を着用することもできる。したがって、自己のイメージを変えたり、欠点を隠したり、より良く見せたりすることを目的とした、個性の表現としての衣服の役割が存在する。
A時代の美意識 個人の美意識が時代の美意識として定着したものがある。江戸町人の「いき」の美意識がそれであり、地味な色と単純な文様の組み合せであるが、現代でも日本の美意識として受けつがれている。