日本女子大学・家政学部通信教育課程・食物学科
教職課程リポート

科目「家庭管理概論」

課題「生活時間の各構成要素が、生命および労働力再生産の営みにとって、どのような意味を持つかを論じなさい」

評価「(合格)」

参考文献「家庭管理概論の教科書の該当箇所を2000字以内に収まるように丸写ししただけ」

1.収入労働時間
 自らの家庭の「生命および労働力再生産」のための収入を得るために費やす時間である。生活財やサービスの利用に金銭が必要な社会では、資本を持たない者にとって、労働による家庭外からの収入獲得は当然必要な行為となる。また、その家庭外への労働の提供は、社会への生活財やサービスの提供という性質を持つ。

2.生理的生活時間
 各人が食事、排泄、入浴、睡眠、疾病治療といった生理的な行為に費やす時間である。これらは、栄養補給、疲労回復、健康の維持や回復といった「生理的な労働力再生産」には当然必要な行為である。

3.家事的生活時間
 家族の「生命および労働力再生産」のために、家庭生活を維持するために費やす時間である。
a.炊事−食事の調理、後片付けなど、栄養補給を目的とした食事を作るために費やす時間である。食事の対象者やその嗜好、摂取すべき栄養物などによって、内容や量が吟味され、それぞれに適した献立が提供される。また家庭内食か弁当か、通常食か行事食かといった条件から、その目的に応じた献立が提供される。
b.住生活管理−住まいの内外の掃除、修理、ゴミ捨てなど住環境を整えるために費やす時間である。清潔、快適、安全という住環境の目的を満たすために、家庭内はもちろん地域レベルでの取り組みも存在する。
c.衣生活管理−洗濯、アイロン掛け、つくろい、ふとん干しなどのに費やす時間である。家族の衣服や寝具などの面から、清潔、快適、安全な状態を維持するため行われる。
d.買い物−日々の生活に必要な物品の購入に費やす時間である。生活財の入手を家庭外に頼る社会では必要である。家庭から金銭が社会へ出て循環して行く。
e.子供の育児・教育−子供の肉体的・能力的な成長を援助するのに費やす時間である。特に「次世代の生命の再生産」として大きな意味を持つ。保護が必要な年齢の子供に対する育児は、社会的に見て親に求められるものであり、また子供のしつけは、社会において生活する上で必要なことを習得させる意味を持つ。
f.世話−子供以外の家族の細かな生活の手助けをするのに費やす時間である。介護が必要な家族に対する世話も含まれる。
g.家政管理−収入や支出、預貯金の管理を目的とした行為に費やす時間である。現在や将来の収支の把握により、日々あるいは生涯の生活設計を立てたり、計画的に支出を配分したり、不足分の収入の増加を画策したりすることにより、家庭生活を経済面から継続的に安定して維持することを目的としている。

4.社会的・文化的生活時間
「精神的・肉体的諸能力の再生産」のために費やす時間である。
a.教養・研修−新たな知識や技術の習得を目的とした行為に費やす時間である。仕事や家事などに関しての知識や技術を深めることにより、それらのより一層の発展が望めることとなる。
b.家族とのかかわり−家族との意思疎通を通じて連帯感を育み、家庭生活での人間関係を円滑にする行為に費やす時間である。また家族と暮らすことによるやすらぎを求める行為でもある。
c.娯楽・趣味−各人の嗜好を満足させることにより、生活にうるおいをもたらす行為に費やす時間である。また娯楽や趣味が、仕事に有益な影響を及ぼしたり、家族関係を円滑にしたり、人間関係の広がりをもたらしたりすることがある。
d.運動−身体的な能力の維持や発達を目的とする行為に費やす時間である。適度な運動により心身の健康を維持し、疾病の予防にも寄与することができる。
e.交際−家庭外の人々との交流を目的とした行為に費やす時間である。親類、近隣、趣味などによる人的な関係を結ぶことにより、精神的安定、助け合い、知識の授受、相互啓発など家庭や家族にとって有益な状態をもたらす。
f.一般的な社会的活動−地域や家庭が関わる問題を、家庭外に対して提起する行為に費やす時間である。近隣地域にかかわる自治会や町内会の活動や奉仕活動、労働にかかわる組合活動などがある。これらの活動を通じて、地域的な問題の話し合いや決定、家庭だけでは解決できない社会的な問題の改善が行われる。
g.消費的な社会的活動−上記同様、地域や家庭が関わる問題を、家庭外に対して提起する行為に費やす時間であるが、消費生活を中心に据えたものである。消費生活にかかわる消費者活動や生協活動などがある。これらの活動を通じて、消費に関わる問題の改善が行われる。

5.各生活時間のかかわり
 生活時間の構成要素は、それぞれが全て独立しているわけではなく、緩やかな関連を持っている場合がある。例えば収入獲得のための労働に費やされる時間は、子供に対して勤労の意味を理解させるという視点からすれば、教育という意味も持つ。また食事に費やされる時間は、家族団欒という視点からすれば、家族とのかかわりという意味も持つのである。