日本女子大学・家政学部通信教育課程・食物学科
教職課程リポート

科目「家庭科教育法I」

課題「家庭科の教育課程の歴史から、あなたの共学家庭科観を育てるためにどのようなことを学びとりましたか」

評価「(合格)・・・いろいろボロカス書かれていた」

参考文献「家庭科教育法Iの教科書の該当箇所を2000字以内に収まるように丸写ししただけ」

戦後の家庭科成立時
 小学校では、5〜6年での家庭科が男女必修となったものの、その指導内容の一部には「男子向き」「女子向き」という注釈が加えられたものがあった。それらは、男子は工作関連の内容、女子は縫製関連の内容であった。これは家庭科を男女共学とするため、無理やり男子向けと思われる工作関連の内容を盛りこんだものである。結局は従前からの性別の持つイメージにより指導内容を配分したものであったといえる。
 中学校7〜9年については、家庭科という独立した教科は設けられず、職業科内の1教科として家庭科が組み入れられた。ただし職業科を構成する5教科のいずれかを選択履修するというかたちであり、家庭科が必修というわけではなかった。また建前としては男女の区別なく教科の選択ができるものであったが、家庭科は明らかに女子向けの内容であった。さらに当時の上級学校への進学状況から考えた場合、家庭科を職業教育の一部とする認識でもあった。
 したがって、小・中学校いずれの場合も「男女共通・共同の指導内容」とは呼べない状態であった。

1950年代
 小学校では、家庭科が5〜6年時にのみ設けられている点について若干混乱が生じたが、その後現在にいたるまで5〜6年時開設は続いている。ただし家庭科の内容が、被服・食物・住居に関する知識や技能の習得という性格が強く、家族関係と生活管理はそれら知識や技能により改善されるという認識であった。
 中学校では「職業科内での1教科」でしかなかった家庭科が、職業科と家庭科が統合された「職業・家庭科」となり、家庭科としての色彩が強くなった。しかしながら、教育計画に「男子向き」「女子向き」の例示が設けられるなど、依然として男女別の指導内容という面が存在していた。またその次の改定では、家庭の分野の一部を「男女に共通な必要性・共通な可能性」から除外し、いわば女子用の分野として設けていた。
 高等学校では、家庭科が6科目から7〜14単位の選択履修となった。ただし「女子に関しては14単位の必修が望ましい」との規定が設けられた。またその次の改定でも「芸術科、家庭科、職業に関する教科」の履修に関し「女子については家庭科の履修が望ましい」とした。
 いずれの場合も選択科目という性格を持ちつつも、女子の家庭科の履修が期待されたものであった。

1960年代以降
 小学校では男女必修であり、男女による教科や内容の区別はなかったものの、社会や家庭での性別による役割の相違はそのまま受け入れるという指導方針が打ち出されていた。
 中学校では「職業・家庭科」が「技術・家庭科」に変更された。しかし従前の科目選択の余地は全くなくなり、指導内容は男子が技術系、女子が家庭系とはっきり男女別に分けられた。またその次の改定でも、この状態は維持されつづけた。
 高等学校では、全ての女子に対して「原則的に家庭一般4単位の履修」が課されることとなったが、その次の改定では全ての女子に対して「家庭一般4単位の必修」となった。
 いずれも「男は仕事、女は家事・育児」という役割分担を学校教育で完全に固定化してしまうこととなり、個人の個性や可能性を無視したものであった。

1980年代以降
 中学校では、従前の明確な「男子向き」「女子向き」の別をとりやめ、技術系と家庭系に編成しなおした。しかしながら自由な選択が可能になったわけではなく、女子は技術系から1科目、男子は家庭系から1科目が学べるようになっただけであり、依然として男子は技術系、女子は家庭系という男女別の内容であった。
 高等学校でも、依然として女子に対しては「家庭一般4単位の必修」がなされていたが、わずかに男子も「家庭一般」を履修することが可能となった。
 これは「男は仕事、女は家事・育児」という役割分担の固定化に対する批判に、わずかに答えた対応であった。

現行の教育課程
 女性差別撤廃条約批准により、男女教育への対応がなされた。
 中学校では、それまでの男女別の履修領域を男女同一の取り扱いにしたものの、履修に関して共通領域と選択領域に分かれており、完全な男女同一な内容とはいえない面もあった。
 高等学校では、家庭科内の科目を家庭一般、生活技術、生活一般の3科目制とし、男女ともそのいずれかを1科目選択必修とした。したがって選択した科目が同じ場合には「男女共通・共同の指導内容」が実現した。

中学校・平成14年度以降実施分
 男女全ての生徒に履修させる共通領域が、技術分野8項目、家庭分野8項目と大幅に増え、選択領域が1〜2項目に減ったので「男女共通・共同の指導内容」にかなり近づいた。

高等学校・平成15年度以降実施分
 家庭科内の科目を家庭基礎、家庭総合、生活技術の3科目に変更し、男女とも1科目必修とした。ただし家庭総合、生活技術は4単位であるが、家庭基礎は2単位に減じられた。一部ではあるが家庭科教育の後退とも考えられる。