日本女子大学・家政学部通信教育課程・食物学科
教職課程リポート

科目「家庭科教育法II」

課題「テキストの3つの分野のどれか1つを選び、その分野の授業実践をすべて読み、そこから学んだことを書きなさい。また、その分野での現代の生活課題は何かを課題別に挙げ、論じなさい」

評価「(合格) コメントまったくなし・・・結構投げやり」

参考文献「家庭科教育法IIの教科書」

選択分野「V 暮らしの環境」

1「歯磨き剤から考える合成洗剤の学習」
学んだこと
「合成洗剤=衣服の洗濯用」という生徒の認識に対し、口に含む歯磨き剤を題材に取り上げ、味覚との関連で教授した点がよいと思う。通常、口にしているとだれも考えていない物が、実はそうではないという事実は生徒に大きなインパクトがあると思う。このように、単に教科書に書かれている内容(「合成洗剤の使用には種々の問題点がある」云々)を知識としてだけ教えるのではなく、それが身近な、しかも思いもよらない所に使われているという事実を提示し、生徒に「我が身に降りかかるような形」での問題提起ができるようにつとめることは非常に大切であると感じた。
生活課題
 一般に売られている合成洗剤を使用することは、どこの家庭でも普通に行われていることである。その使用が法に触れるわけではなく、また道義的に責められることでもない。「洗剤など、衣服がきれいになればそれでよい」「どの洗剤でもそこそこきれいになるから同じ」「国も販売を許可しているから安全」「メーカーも研究しているから大丈夫」といった意識が普通であろう。生徒は日ごろ衣服の洗濯などまずしないわけであるし、したとしても家庭にある洗剤を何も考えずに使用するであろう。また、内容表示を確認することなどまずありえないといえる。
 生徒に限らず家庭でも、洗剤について両親がそこまで考えていることは希だと考える。しかしながら、合成洗剤とはいったいどういう物であるのかを知らずに使い続けるという「盲従的な生活態度」が、はたして是か非かと考えてみることは重要ではある。またこれは合成洗剤だけにあてはまることではない。
 日々の生活を取り巻くその他の物品・サービスなど、すべてについてあてはまることだと考える。したがって、日頃使っている製品の内容表示や成分表示が「なぜ記載されているのか」という意味や、さらにその記載内容を理解するために使用者自身の問題意識と勉強が求められる。
 さらには、家庭から排水された後の処理について「浄化槽があるから大丈夫」「下水道に流せばいずれ処理される」といった「他人まかせ」的な意識面へ注目することも大切であろう。

2「家庭科における環境教育の実践」
学んだこと
 単なる知識の教授ではなく、生徒が関心を持ちそうな商品の実物を並べ、その商品選択を通じたゲーム形式で授業を行う点が工夫されている。買い物は各人が自らの価値判断で行うものであるから、自然とその選択に自信を持っている。したがって、その選択理由の話し合いは、いわゆる「買い物自慢」のような感覚であり、生徒の積極的な参加が期待される方法だと思われる。
 またその発表の際に、各生徒それぞれ選択基準が異なることから、選んだ商品も異なることが予想され、多様な角度からの商品の見方というものに生徒は気づくこととなる。その相違点が何であるのかを明白にさせるプロセスで、製品イメージや知名度、あるいは成分表示や内容表示などの「選択の際の着目点」の持つ意味についての認知が期待できる。
生活課題
 生活関連商品を選ぶ際に深く考えず「どれでもよい」という態度で済ませてきている生徒に、商品に明示されている成分表示や内容表示まで踏みこんだ選択を行わせる。その際、商品の内容や成分が身体や環境にとってどのような影響を持つのかといった観点からの選択を意識させる。また、品質とは無関係な「商品イメージ」や「知名度」といったものの意味についても考えさせる。

3「カレーライスをつくろう」
学んだこと
 身近でポピュラーな料理であるカレーライスについて、その材料の買い出し、および調理を通して「ゴミとして何が生じるのか」を生徒にイメージさせる点がよいと思う。調理というと、材料や味付けなどの出来不出来といった方向に学習意識が傾くのであるが、そこから生じるゴミに観点を置いた授業は意外性もある。ゴミの処理について、人的な方法も、自然界に頼った方法も限界があることを指摘し「家庭から出るゴミを減らす」「捨て方を工夫する」「ゴミを活用する」「ゴミは資源にもなる」ということを生徒に学習させるのは重要なポイントであると思う。
生活課題
 不要な物はゴミとして捨てるのが当然のことであるが、その「捨てる」という行為について「ゴミを減らす」「ゴミを活用する」といった観点から、各家庭にできることを考えるのが重要である。家庭から生じるゴミは「当然出るもの」として何気なくゴミ箱に捨てられ、ゴミの回収日に収集され、あるいは下水道に流されていく。生徒もそれは知っているのであるが、目の前からゴミが消えれば全て済んだと考えがちである。しかしながら、それはゴミが単に移動しただけなのであって、最終的には人的な方法や、自然界の負担で処理されるのであり、その影響を考えた場合のゴミの行方についての深い考察が重要となる。

4「私たちの暮らしと経済活動」
学んだこと
 最初にプリントを配布し、事前に授業内容の流れを提示しておく方法はよいと思う。プリントも空白を穴埋めするものなので、重要点を明確にしやすい。
生活課題
「人、物、金、情報の動き」が経済なのであるから、だれもが否応なく一生関わっていかなければならない問題である。テレビのニュースや特集番組、新聞記事、週刊誌などのメディアで経済関連の内容を見かけないことはない。したがって、基本的な経済の構造や用語について学習し、世の中の経済現象に関心を持ち、その意味を理解することが求められる。

5「家庭経済と消費」
学んだこと
 家庭で衣食住や経済的な面で保護されており、いわば「今日だけを生きている」生徒に対して、自分の生涯設計を立てさせてみて、社会人となって後に一般的に起こりうると考えられる状況を認知させることは有意義な試みだと思う。
生活課題
 社会に出た後の「自分がこうありたい」あるいは「自分はこうなるであろう」という状況に対して、経済的な計画を立てることが重要である。何の計画も展望もなく「行き当たりばったり」「出たとこ勝負」では、自分自身が困ることになるのである。もちろん将来のことであるから不確定な要素は存在するが、だからといって無計画でもよいということにはならない。

6「家庭経済分野での現実感あふれる消費者教育の実践をめざして」
学んだこと
 本文にある「分割払いには利息を上乗せされていることを知らない生徒」という現実には唖然とするほかない。こういう生徒もいるからこそ、我々が「知っていて当然」と思うようなことでも1つ1つ確認し、学校の授業で触れなければならないと思う。
生活課題
 商品やサービスを選ぶという視点の他に、代金の支払い方法も学習しなければならない。分割払いは、毎回の支払額が分散されるので買いやすく、そのため商品やサービスを先取りして入手することが可能である。しかしながら、分割払いには多くの場合手数料や利息といったものが必要になり、総支払額は一括払いより増えるわけである。そのような意味で、将来当然のように持つであろうクレジットカードのシステムを理解し、自己の支払能力を考慮したうえで、必要に応じて利用するという態度が必要になる。また消費者の保護のための各種法律知識の学習が大切である。人生経験に乏しく、学校という限られた空間での生活に浸りきった生徒は、いわば世間知らずなのであり、この世の中には他人を騙してでも金儲けを企む輩がいることや、またその際に対処法も教える必要がある。

7「生活と水」
学んだこと
 水の汚染度をテストで実際に認知させることにより、見た目にはそれほど汚れていなくとも、実際にはそうではないことを理解させ、環境に与える負担を考えさせるようにした点がよいと思う。
生活課題
「たかが水の汚れ」という意識を改めさせ、汚れを減らす工夫や努力をすることにより、環境が守られるということを理解させる。